慢性腎臓病CKDは、成人8人に1人が患っている生活習慣病。「CKD啓発動画研究会」は、CKD(慢性腎臓病)の認知度が少しでも高まることを願って活動しています。

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クライミングの運動強度は?

 前の記事でクライミングの動画を掲載しましたが、ついでにクライミングの運動強度について調べてみました。
結論を言えば、クライミングは複雑な全身運動であり、同じ動作の繰り返しであるウオーキングや水泳のように定量的に運動強度をあらわすのは困難です。また全身運動とはいえ、指で体重を支える部分が大きく、前腕の筋にとくに負担が集中し、その点ではバーベルやダンベルを持ち上げるような、特定の筋のレジスタンス運動の要素も加わります。
 反復動作の持久系全身運動では、心拍数や概ねその1/10になるように設定されたボルグスケール(RPE: Rating of Perceived Exertion)がよい指標になり、レジスタンス運動では、最大努力で何回繰り返せるかであらわすRM(Repetition Maximum)法が標準的に用いられますが、クライミングは両者が複雑に混じり合うので、単一の指標では強度の評価が難しいわけです。

 そのような限界を理解した上で、初心者が易しいルートを登ったときの負荷の程度を、上記ボルグスケールで評価した論文を下記にリンクします。
男性では、心拍数から推定される強度と自覚的強度がほぼ一致していましたが、女性では本人が自覚する以上に、心拍数からみた強度は高かったという結論でした。運動強度そのもの以外に、高さ(墜落の恐怖)など心理的ストレスが心拍数に影響している可能性もありますね。

 クライミングは大変面白くまた奥深いゲーム性もあるスポーツですが、重力に逆らって体重を手で支えるため、体力や、技術に応じて運動強度を調節する事が難しいという特徴もあります。ですから健康のための運動という点では、長年全く運動習慣がなかった方の場合は、まずウオーキングやストレッチ体操などで体を動かす事に慣れてからとりくむとより安全に継続でき、スムースに上達できるのではないかと思います。